ローコスト住宅を選んだ8年目の我が家の感想

    奇跡のランニングコスト

    以前から、ローコスト住宅が低品質の代名詞として使われていることが気になっています。現状は、実在するローコストと言われる住宅全般の傾向を指して言われてるのだと思いますが、「ローコストな住宅」だからダメみたいな一括にした意見って、思考停止なんじゃないのかなと思ってしまうんですよね。

    コストを下げつつ品質を上げることなんて、製造業では当たり前で、日々一見矛盾するこの課題と戦い続けています。さらに、コスト(原価)と売価は本来違うものなのに混同して使われているのも気になりますね。(施主にとってのコストっちゃぁ、コストなんですが…)

    ローコスト住宅を批判する一方で、利益率の高いハウスメーカーよりも工務店のほうが利益率が低いと、結果的に低コストをアピールに使っていたりするのも変な感じです。

    新型コロナの影響で分譲戸建て住宅が好調というニュースが出ていますが、これらのパワービルダーの建物の仕様は、未だにアルミサッシが標準だったりと、ローコストハウスメーカーの標準仕様よりもさらに性能が低かったりしますよね。

    では、これらの家を選んだ人は失敗なんでしょうか?
    このニュースの状況を見ていると、多くの消費者はこの価格帯の手の届く選択肢を求めてるってことだと思うんです。

    最近は、家ブロガーさんやyoutubeの情報が豊富で、調べられることも多くて羨ましいと思う反面、もし我が家がローコストな家を今建てようとしていたら、とても形見の狭い思いをしたような気がします。

    ということで、当時の私がこのブログを見ているつもりで、8年間ローコスト住宅に住んでみた今の状況と感想を少し書いてみようかと思います。

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    あくまで個人的な感想です@TumisuによるPixabayからの画像

    確かに窓はよく考えたほうが良いと思う

    何度もこのブログでもお伝えしていますが、さすがにアルミサッシの近くは結構な冷気を感じますね。実際、すき間対策や内窓の取り付けもしているので、満足出来ていないところだと言えるでしょう。
    しかし、当時はハウスメーカーでもアルミサッシが普通に標準仕様でしたし、アルミ樹脂サッシのシンフォニーを選んでいても、熱貫流率が4.07から3.49に上がる程度でした。
    シンフォニーにすると、大体一軒で、30〜50万円ぐらい増額するイメージだったんですが、この程度の性能差でも当時の口コミを見ると、シンフォニーにしておけばよかったって声も多いですね。
    最新のアルミ樹脂複合サッシや樹脂サッシの性能から見ると、どちらも笑っちゃうような数字だと思うのですが、限られた選択肢の中で悩んでいたという感じです。

    ただ、そもそもシンフォニーは準防火地域に対応できなかったので、我が家は選べなかったと思いますけどね。

    なので、予算や標準仕様、準防火地域の都合があるなら、

    • 引違い窓よりもなるべく気密性の高い縦すべり窓
    • 冷気を感じにくい窓の位置や大きさを考慮する
    • むやみにたくさん窓をつけないこと
    • 浴室とトイレの窓はほぼ開けないのでなくても良かった、またはFix窓でも良かったかも

    などを、もっとよく考えておくことができたような気はします。
    ただ、後々内窓を付ける場合は、引違い窓のほうが付けても開閉しやすいので、ここは要注意です。
    新築時にあえて、内窓を付けるかたもいらっしゃるようなので、必ずしもオール樹脂サッシと決めつけてしまわずに、内窓を取り入れられる計画も予算とコスパの観点ではあり得るような気がします。

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    縦すべり窓に内窓付けると内開きになっちゃうんですよねー@Anja🤗#helpinghands #solidarity#stays healthy🙏によるPixabayからの画像

    でも、この窓の問題はローコスト住宅(会社)だからダメだったわけじゃないと思うんですよね。
    実際、アコルデの先輩ブロガーは、当時でも抜け目なくシンフォニーをしっかり選んでましたし、逆にローコスト住宅だから、そこにこだわって予算をかけられたんじゃないかなと思います。

    電気料金はローコストでも上出来

    先日、似た家庭の平均電気料金を上回ってしまったことをブログに書きましたが、入居以来の年間電気料金はこんな感じです。2020年は10月までの実績ですが、万一残り二ヶ月で2万円追加になっても、前年同等なのでまだ年間10万円を超えたことはありません。

    • 2013年 電気料金 63,279円
    • 2014年 電気料金 74,007円 (前年比10,728円up)
    • 2015年 電気料金 70,865円 (前年比3,142円down)
    • 2016年 電気料金 67,042円 (前年比3,823円down)
    • 2017年 電気料金 72,892円 (前年比5,850円up)
    • 2018年 電気料金 82,168円 (前年比9,276円up)
    • 2019年 電気料金 91,741円 (前年比9,573円up)
    • 2020年 電気料金 71,759円 (1〜10月までの参考実績)

    これは、6.4kwの太陽光発電を載せた上での価格ではあるのですが、かなり上出来な成績ではないでしょうか?

    ちなみに、11月の似た家族との電気料金の比較はかなり復活しましたが、以前ほど下回ってはいないようです。
    電気料金_似た家族比較_11月

    とうとう似た家族の平均電気料金を上回ってしまった

    今から注文住宅での家づくりをされる方には考えられないであろう、ピュアアルミサッシを採用している我が家は、先日もご紹介したような涙ぐましい(笑)試行錯誤を続けています。でも、8年前は我が家の手が届かないハウスメーカーでもアルミサッシが普通だったんですよねーさすがに最近は、ローコスト系の工務店でもアルミ樹脂サッシは標準にしているようですが、私が見る限りでは某パワービルダー系の建売住宅では、まだアルミサッ…

    もちろん、高性能のお家であればもっと安いぜって話もあると思いますが、仮にこの電気料金が実質0円まで下がることってあるでしょうか?
    まず無いわけですが、これまでの電気代を通算すると約59万円となります(実際は2012年9月〜12月の実績もあるのですが、ここでは省いています)

    今後、仮に最新の年間電気料金約9万円で、27年間(35年-8年)積み上げるとプラス243万円となります。
    59万円+243万円=302万円なので、もし電気料金が0円になっても、住宅ローンの35年間で得られる電気料金によるメリットは約300万円が限界になります。

    しかし、電気を使う限り料金は発生するので、せいぜい下がると言っても半額か3分の1ぐらいではないでしょうか?
    仮に300万円を追加して、家の性能を上げたとしても我が家の建築費は2000万円には届かないのですが、結構コスパの高い成績を出してくれていると思います。

    いゃ、高性能住宅だと常に快適な温度を保つ生活ができるの24時間冷暖房で、もっと電気料金が下がるはずだ!
    この家で、24時間冷暖房すると、もっと電気代がかかるはずだというご意見も予想されます。

    それはごもっともなんですが、おそらく我が家はそもそも高性能住宅に住んでいたとしても、絶対24時間冷暖房を妻がやらせてくれないと思います(笑)
    これは、間違っているとか、習慣を変える必要があるとか、なんとか言われようとも、変わらないものは変わらないんですから仕方ないです(苦笑)
    24時間換気の電気代極小の換気扇をつけっぱなしにするぐらいでも揉めたくらいなので、その意味でもこの程度の性能の家でちょうど良かったのかなと。

    ハイブリッドカーも、普段からたくさん走る人じゃないとメリットが出ないのと似てますね。

    ちなみに、この2020年は太陽光発電の成績が悪く、厳しい成績になりそうなのですが、昨年までは太陽光の売電−太陽光ローン−電気料金でも売電が残る状態で、実質電気料金は太陽光のローンを払いながらでも実質0円どころかプラスとなっています。
    (以前も書きましたが、いずれまた最新情報を集計してブログに書くかも)

    自己資金マイナスからの太陽光は、いきなりプラス収益とな!

    完工までご紹介した太陽光シリーズの続きです。[太陽光施工完了] 配管は見た目よりも、日差しでの劣化を考慮すべしの巻 – 太陽光発電今回は、太陽光シリーズの続きです。いゃはゃ、ホントこのシリーズ引っ張りすぎですね・・・太陽光発電の普及さて、前回は思いもよらない後付の隠蔽配線が出来るかもという申し出があったものの、あえなく不可となってしまったところまでを書きました。結局、当初の予定通り外部にエアコンカバーで…

    精神衛生上余裕がある

    我が家がローコスト住宅を選んだ理由は、二軒目の住宅ローンを組むため融資額の上限が厳しかったことが大きいです。
    実際は、賃貸として家賃収入のある一軒目の住宅ローンは事業として評価してくれる銀行から、それなりのハウスメーカーでも建てられるぐらいの融資額も提示があったので、予算を上げる選択肢はありました。
    でも、そもそも二軒分も住宅ローンを抱えるプレッシャーが大きく当初の予定どおり、厳しい予算枠で進めたことは正解だったと思っています。

    実は、リーマンショック後からずっと投資運用してコツコツ増やしてきた手元資金があり、これも自己資金として出せなくなかったのですが、温存して運用を続けた結果、約8年で現在約二倍まで増えています。(アベノミクスの恩恵も大きいですが、金額は明かせません…汗)

    また、ローンの金額も抑えたことと家計が改善された効果で貯蓄ペースも上がり預金も約二倍となりました。

    メンテナンス予測と本当の家計改善効果

    メンテナンスのお話の続きでございます。我が家は、住宅ローンを借りられる期間目一杯の35年間で借り入れしました。そのまま予定通り返済すると、完済時の年齢は77歳です。自分自身ももちろんですが、35年後の自宅の状況や周囲の住環境がどうなっているのか全く想像が付きません。何もメンテナンスしないと、こんな感じになっちゃうのでしょうか・・・そういえば、私が13歳の頃に新築した実家がちょうど築35年になります。当時は、…

    来年は次男の大学受験となり、大学四年生の長男の学費と重なる、我が家の出費もピークを迎えようとしているのですが、おかげで万全の体制で望めそうです。

    もちろん、今後の修繕費の積立も必要ですし、そもそも42歳で35年ローンを組んで77歳まで払うことになっているため油断は出来ないのですが、いまの貯蓄と貯金習慣を続ければ、77歳までかからなくても支払いを終えてメンテナンス計画も立てられそうです。

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    こつこつ増やすにはキャッシュフローの余裕も必要です@TumisuによるPixabayからの画像

    コロナの影響で、会社の業績も厳しく冬のボーナス減額など年収減は避けられそうにありませんが、無理のないローン金額だったので、あまり慌てずに済みそうです。

    この貯蓄と貯金ができる余裕があるなら、もっと高性能な家を買えたかもしれませんが、手元に資金があることで精神衛生上はかなり気持ちの余裕が持てています。

    かりに資産価値が高いと言われる家に投資していたとしても、かけた金額が倍になることは、なかなかこのご時世では考えにくいかなと思います。

    「卵は一つのカゴに盛るな」という相場の格言があるのですが、我が家の家計では、家に盛るべきカゴの大きさはローコスト住宅の金額がちょうど良いバランスだったのだろうと思います。

    ローコスト住宅の住心地は同じ価値観の人の意見を聞いたほうが良いと思う

    そもそも、ローコスト住宅がダメだとか、家には3,000万円かけないとダメだとか言ってる人って、ローコスト住宅で生活したことあるんでしょうか?
    これは、「家」というハードの機能だけの話ではなく、ローコスト住宅を買うこと、またそのような文脈がライフプランに組み込まれた生活を送っているのかという意味も含みます。

    • 年収3000万円以上で一等地に高級住宅と高級車を所有している人に、ファミリーカーのことをを相談しても、そんなのやめとけとか言われます。
    • ロードバイクレースを趣味にしている人に、街乗り自転車のことを相談しても、30万以下の自転車なんて、それは自転車じゃないと言われます。
    • ビジネスクラスの飛行機しか乗ったことのない人に、LLCで旅行しようといったら、墜落しないのと怪訝な顔をされるかもしれません。

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    5万円で買える自転車? 皆んな聞いた!? ハッハー! そんな自転車、この世の中に無いぜ!(実体験です)@EM80によるPixabayからの画像

    ローコスト住宅をダメと言っている人、ローコスト住宅を選ばなかった人は、そもそも家に対して全然違う価値観を持っている可能性が高いと思うんです。
    どんなに建築のプロの正しい意見があっても、それが価値観や生活観に合うかどうかを決めるのは、当たり前ですが住む人本人です。

    なので、ローコストな家を実際に選び、その背景となる価値観を持つ人が、どのような感想を持っているのか含めて実際に住んでいる人の意見もよく聞いたほうが良いと思うんですよね。家そのものの感想よりも、感想を言っている人の価値観に共感できるかどうかが、ローコスト住宅を受け入れられるかどうかの参考になるんではと思います。

    ということで、住心地含めると、もっと書きたいことがあるんですが、同じ価値観を持つ8年前の私には、「うん、その計画で建てて大丈夫だよ」と、とりあえず言ってあげたいと思います(笑)。

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