断熱の数字は嘘つかないかもしれないけど誤解を招きやすいと思う

    断熱

    「建ててしまった人は読まないでください。ショックを受けますから。」なんてコピーの本を見かけた記憶がありますが、つい面白いので建築系Youtuberさんの動画はやはり見てしまいます。

    温熱系Youtuberさんの熱い発信も勉強になるのですが、冷静合理派系?と思われるYoutuberさんの意見もなるほどと思わされる内容も多く、見比べていると色々考えさせられます。
    わが家は、逆に建てちゃったので、ジタバタしても仕方がないので冷静に見られていますが、これから建てる人が勉強のために情報収集していると考えると本当大変ですね。
    色々情報が得られるのはありがたい一方で情報の受け止め方が難しいなぁと感じるこの頃でございます。

    特に家づくりには、様々な数字の話が出てくるのですが、前提や背景に気をつけないと大きな誤解を招く気がします。業者さん側は、このあたりを上手にコントロールして商談を有利に進めようとしている場合もあるので、施主側が注意しておかないといけませんね。

    ということで、今回は、家の数字にまつわる気になったことを取り上げてみたいと思います。

    数字とクッキー
    ●●率?それ食べられるものですか?@Ulrike LeoneによるPixabayからの画像

    断熱材は性能あたりのコストが最重要

    まず、なるほどと思ったのが、断熱の著名な先生がおっしゃられていた「熱貫流率当たりのコストが最重要」という話です。例えば、外断熱系の住宅を検討されている方は、次のような断熱材の性能の比較表を見せられて説明を受けたことがあるのではないでしょうか? 私も、外断熱系の工務店さんにいかに性能が高い断熱材を使っているかを熱く語られた記憶があります。

    スタイロフォーム_熱伝導率

    スタイロフォームの特長

    スタイロフォームの熱を伝えにくい特長は、冬の寒さはもちろんのこと、夏の暑さにも有効です。
    また、温度を一定に保つことで冷暖房のエネルギー消費を抑える効果があり、室内環境だけでなく省資源や温暖化防止にも貢献します。

    この性能値は間違ったものではないのですが、断熱材の厚みが加味されていない「熱伝導率」という数値です。
    一方で、厚みを加味した実質的な断熱性能値のことを「熱貫流率」というそうです。
    以前からのこの2つの言葉の違いがわからず謎だったのですが、やっと理解できました(笑)

    高性能のフェノールフォームとグラスウールを同じ厚みで比較すると、たしかにフェノールフォームのほうが性能は高いのですが、前述の先生によると厚み5cmのフェノールフォームと、厚み10cmのグラスウールがほぼ同じ性能になるとのこと。
    このように同じ性能を得ようとする条件のでコストを比較すると、フェノールフォームは約4千円でグラスウールは約千円となり、単位コストあたりのパフォーマンスはグラスウールのほうが遥かに優れているということでした。
    これは、とてもわかりやすい説明ですが、わが家の家づくり当初にハウスメーカーや工務店さんから説明をされた記憶はありません。

    次のような説明が似ていますが、どちらも正しい数字を使っていても印象が随分変わることがわかります。

    グラスウールの値を100とした場合のコスト比較

    断熱・気密

    ヒートショックや健康被害を防ぐ住宅の断熱・気密 現状では冬場のヒートショックが原因により入浴中の死亡事故がなか…

    ただ、この話を聞いていて気になってきたのが、高高住宅で必須と言われる樹脂窓にも、このように性能単位あたりのコストを見る方法がないものかという点です。

    そんな気持ちで動画を物色していたら、冷静合理派のyoutuberさんが発信していた情報が目に止まりました。

    サッシの場合は厚さではなく太さが影響する?

    少し古い記事ですが、こんな比較表がありました。アルミサッシ/アルミ樹脂複合サッシ/樹脂サッシの性能を熱還流率で比較しています。樹脂サッシの断熱性能の高さが際立つグラフですね。

    サッシの熱貫流率比較

    樹脂サッシで窓の断熱性能、格段にアップ! – リフォームオンライン

    高断熱の窓として注目される樹脂サッシ。アルミサッシから樹脂サッシにリフォームすると、窓の断熱性能が格段にアップする。最近は、開口部が狭くなるといった欠点をクリアした工法も開発されている。熱伝導率が低く、結露しにくく断熱効…

    しかし、とある、冷静合理派(勝手に言ってます)のYoutuberさんが、実はアルミ樹脂複合と標準グレードの樹脂窓の断熱性能って、あまり変わらないのではという話をされていたのです。一体どういうことなのでしょう?

    まず、樹脂サッシとアルミ樹脂サッシの比較イメージ写真を見てみましょう。

    同じサイズで比較すべきではない説

    ご存知の方も多いかもしれませんが、樹脂サッシってこんなに框と言われる枠部分が太いんですよね。
    樹脂窓_アルミ樹脂窓_同じサイズ-2

    当初、私は全く知らなかったんですが、窓って樹脂サッシであっても框部分よりもガラス部分のほうが断熱性能は高いそうなんです。このため框部分が太い樹脂サッシは、アルミ樹脂複合サッシよりも断熱性能が高いガラス部分が減るため、断熱性能が落ちます。この部分が樹脂による性能アップと相殺されると考えられます。
    さらに、採光を目的とした窓として考えた場合、この窓を同じ大きさの窓として比較すべきではないとのことでした。

    採光条件をあわせるためガラス部分のサイズで合わせると、こんな感じのイメージでしょうか・・・

    樹脂窓_アルミ樹脂窓_サイズ違い2-3

    ガラス部分の面積条件を合わせると、ひと回り窓のサイズが大きくなってしまいますね。
    この窓だと、誤差なんじゃないのと感じるかもしれないので、デザイン窓で比較してみると・・・
    デザイン窓の比較_サイズ同じ
    こんなに違う場合もあるようです。
    確かに、このガラス面積の違いのまま比較するのはまずい気がしますね。

    ガラス部分を合わせると・・・
    デザイン窓の比較_サイズ違い
    結構な影響がありますよね。(実は、わが家でも実際にこの違いを実感する機会があり、またご紹介します)
    サッシよりも断熱性能の高い壁部分の面積を削ることにもなるので、この点でも断熱性能の相殺を考慮する必要がありますね。
    ガラスの面積が減ると、冬の日射取得による温熱性能にも影響するので無視できない話です。
    これはなかなか聞けない意見なので、とっても目からウロコでした。
    (とはいえ、樹脂サッシの上位モデルの場合は明確に性能差があることは触れられていました。コスト差も大きいですが…)

    ちなみに、樹脂サッシの性能は断熱された壁の3分の1ぐらいしかないから、過信して窓をつけまくることも注意したほうがよいとの他のyoutuberさんの意見されていたので、結構高性能のイメージで誤解を招いているケースもあるんですね。

    実は、もうちょっと窓のコスパのことを書いてみようと思っていたのですが、ちょっと長くなってきたので次に続きます。

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