こだわるべきか否か?バルコニーまたぎ問題

    振り返り

    かなり前に、すこ〜しだけ触れたことのあるバルコニーまたぎ問題を振り返ってみたいと思います。

    現在のお住まいが、バルコニーに面した窓から、こんな感じで床からフラットに出られるようになっているのに慣れていて、これから新たな家づくりという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
    理想_バルコニーまたぎなし
    すでに家づくりを経験された方は、よくご存知だと思いますが、この仕様は「当然」ではないので注意が必要なんです・・・

    高級なハウスメーカーなどですと、何なく対応されている可能性もありうるかもしれませんが、少なくとも我が家がまわったローコスト系木造ハウスメーカーや工務店などでは、お約束の「またぎ」が発生してしまいます。

    かくいう私も、実はこの「またぎ」は発生しないものと勝手に思い込んでいたので、少々がっかりがありました。

    この「またぎ問題」検索すると、結構皆さん悩んだり、対策せずに後悔されている方もいらっしゃるようなので、事前に確認しておくと、精神衛生上も大変よろしいのではと思います。

    ということで、今回は、このやっかいなバルコニーに出る窓の「またぎ」について書いてみます。

    借家には「またぎ」がなかったので油断した!

    そうなんです。住み替え前に住んでいた借家では、バルコニーに出る窓に「またぎ」がなかったんです。奈良の建売では、またぎはあったんですが、住み替え前の借家にまたぎがないことで、住宅の仕様が進化したのだとばかり勝手に思い込んでいました。または、注文住宅だったらできるのだろうと都合の良い解釈もあったのかも。

    その借家の証拠写真が1点残っていました。
    借家のバルコニー写真
    これは、二階の洋室からバルコニーに面した掃出し窓ですが、床と窓の下端がフラットになっています。
    ちなみに、バルコニーへの出入りは、とても便利で良かったのですが、吹き込んでしまった雨の影響で、出入り口付近のフローリングは傷みがちでした。これは、フラットな出入り口のせいというより、バルコニーに軒がない原因のほうが大きいですが。(→テラス屋根シリーズにも繋がる話ですね)

    パースでもイメージを作成してみたんですが、こんな感じです。
    借家のバルコニー2
    バルコニー側の床もあまり段差がなかったような気がするのですが、これは借家が平成7年頃の建築だったから可能だった仕様のようなのです。

    というのも、平成21年の瑕疵担保保険の施行以来、バルコニー床の防水を確保するために、バルコニー床から12センチの立ち上がりと防水面の施行が必要という基準ができた影響だそうです。下記のサイトを参考にしましたので、御覧ください。

    バルコニーの 『またぎ問題』 | 濱崎組 | 私の家 casa mia | 建築部 | 株式会社 濱﨑組

    最近のバルコニーは写真のように、室内床から掃出し窓をまたいで バルコニーに出る住まいが一般的です。図解すると ↓ こんな感じ・・・

    12センチの立ち上がりを確保しようとすると、このようにバルコニー側の床は、掃き出し窓の下端より少し下げる必要があります。
    借家のバルコニー1
    しかし、このように施行てもらうのは単純な話ではないようなのです。

    我が家のまたぎの様子

    現在の我が家の「またぎ」を見てみましょう。この写真は入居直後のベットが搬入されたときの写真です。
    2階またぎ_IMG_0844
    前述の記事では、12センチの立ち上がりが必要ということでしたが、それはあくまで防水面の立ち上がりの話でして、またぎ自体は20cm程度になるようです。これには、窓枠の厚みや、バルコニー側の勾配分も影響しています。

    バルコニー側から見てみるとこんな感じです。
    2階またぎ_IMG_4382
    先程のパースに似ていますね。バルコニー側からは、やはり勾配があるためか、またぎの高さがあまり感じないですね。

    またぎをなくせる可能性?

    すでに前述でご紹介した記事の中に触れられていますが、この「またぎ」をなくせる可能性が、なくはないようです。

    まず、我が家の矩計図でバルコニー部分を見てみますと・・・
    矩計図_またぎありトリミング_文字説明
    このように、図面上でも20cmのまたぎが設計されていることがわかります。
    一般的には、このような設計になることが多いのではないでしょうか。

    しかし、これから設計に入るかたは、まだ諦めるのは早いかもしれません。

    完全にフラットにすることにはならないものの、室内側から見たまたぎをなくす手段がありました。
    それは、バルコニー側の床を二階のFL(フロアライン)よりも下げる方法です。
    矩計図_バルコニー下げトリミング_文字説明
    この場合、室内からバルコニーに降りるカタチとなるものの、またぎはなくなります。

    ただし、バルコニーの床が下がる分、下に位置する部屋がある場合、天井が下がってしまう可能性があります。
    前述の記事では、12cm分下げれば良いという雰囲気で書かれていましたが、またぎの高さ20cm分を吸収しようとすると、20cm下げることになることも想定しておいたほうが良さそうな気がします。

    一階の間取りによって、この天井が下がることが許容できるのであれば、使える方法かもしれませんね。
    とはいえ、バルコニーが向く方向は大抵日当たりが良い面になる可能性が高いので、もろにリビングに影響しそうですが・・・

    我が家の場合、リビングの南面になるので、この方法を知っていても採用は難しかったかなぁと思います。
    あと、張り出しタイプのバルコニーなら、一階への影響を考えなくても済む可能性もありそうな気がします。

    ただ、床面を下げた場合は、バルコニーの床面の柱を本体構造側に貫通して一体化させることができないので、強度に問題をかかえる懸念があるという話も聞いた記憶がありますので、よくご確認ください。

    プランによっても採用可否や課題は異なるかと思いますので、興味があるかたは建築会社によくご相談の上、検討してみてはいかがでしょうか。

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