二世帯住宅を賃貸併用にするつもりなら先行界壁を考えておけ?

    振り返り

    某レオナルド・ザ・ピンチ21(違)の界壁問題が世間を騒がせていますが、何やら本来グラスウールで施工しなければならない界壁という共同住宅の各住戸の間を区切る壁に、発泡ウレタンが充填されていたことも問題だったそうな。
    発泡系断熱材の一種であるアクアフォームを採用しているわが家としては、大変複雑な気持ちでいたのですが、アクアフォームを提供する「日本アクア」の株価は連日急伸しているそうで、何が起こるかよくわからない感じです(苦笑)

    レオパレスの施工不良箇所改修にアクアフォームが使われる可能性があるということなんでしょうか?(うーん)
    もしかしてら、レオパレス21で使われた発泡ウレタンと耐火性が違うのかもしれませんね。

    指をさす_小屋裏_ジャン バティスト聖人 レオナルド・ダ・ビンチ_Pixabayのjaneb13による画像です_saint-jean-baptist-1152204_1920
    [ここ界壁ないらしいで@Pixabayのjaneb13による画像です]

    さらに興味深いのは、レオパレスが発泡ウレタンを使った理由として「コストを抑えるためではない」と説明しているらしいということです。実際、グラスウールはアコルデの岡本社長に「僕のポケットマネーで入れたいぐらいです」と言わしめるほどで、わが家も天井断熱をグラスウールにすることでコストダウンを実現しました。

    でも、発泡ウレタンは、確かに部材のコストはグラスウールよりも高いですが、施工効率が高いため工期の短縮に効果があり、結局建築費用の削減に貢献していたのではという意見も見かけます。

    レオパレスのように、大量にアパートを建築する場合は、部材のコストより工期短縮による人件費削減のほうがメリットが大きい可能性は十分ありますよね。
    発泡系断熱材が、ローコスト注文住宅メーカーで採用されることが多いのも、関係が深いような気がします。

    個人的には合理的で、良い断熱方法だと思っているので、あまりイメージが良くならないといいなぁ。

    さて、導入が長くなりましたが、界壁騒ぎを見ていて、以前から「二世帯住宅を将来賃貸出来るように設計して建てたほうが良さそうだ」と考えていたことが、少々詰めが甘かったと感じたことを書いてみたいと思います。

    賃貸化を想定して二世帯住宅を建てることは珍しくない?

    以前、メゾネットタイプの賃貸住宅を二世帯住宅や賃貸併用住宅として活用することに興味があることをブログでも書きました。

    これは、賃貸仕様で格安で建てられる建物を活用する発想でしたが、大手のハウスメーカーでも二世帯住宅を将来の賃貸化を想定して建てられることをアピールしてたりするんですね。

    実家を二世帯住宅住宅に建て替え将来的には賃貸として貸すケース

    ミサワホーム−実家を二世帯住宅に建て替え、将来的には賃貸として貸すケース

    実家を二世帯住宅に建て替えて、同居するケース。古くなった家をバリアフリーの新しい住まいにできることで両親にとってもメリットがあります。
    子育ての時期は、最もお金が必要な時期。その時期に二世帯住宅であれば、土地取得の費用がかかっていない分、コストが軽減でき、子世帯にとっても大きなメリットとなります。また親世帯の住まい部分は、将来、賃貸住宅として活用できるように設計しておくと、将来は子世帯の生活費としても活用できます。

    他にも色々・・・

    賃貸併用住宅に興味を持ったことがある人で、二世帯住宅を建てなければならない方は関心がある建て方ではないでしょうか?

    でも、これらのページをよく見ると、レオパレスのニュースにもなった「界壁」って言葉がやはり出てくるんですよね。

    なるほど、当然と言えば当然ですが、自宅の一部を賃貸するということは、共同住宅の経営者となるわけで、レオパレスと同じ責任があるわけですよね。

    界壁には基本的に埋め込みのコンセントボックスが付けられない?

    話題のレオパレスに限らず、家賃の安いアパートでは、壁が薄くて隣の音が筒抜けという話はよく聞きますよね。私は、すっかり2×4の壁で何も吸音材が入っていないから太鼓効果で音が響くからなのかなぁなんて勝手に思い込んでいました。

    でも、本来共同住宅の各居室を隔てる界壁には、音が伝搬しないようにするノウハウがあるようです。

    大東建託_千鳥配置

    隣戸からの騒音を遮る界壁の工夫|大東建託株式会社

    部屋と部屋の間の壁(界壁)は、下地の間柱を互い違いに配置する千鳥配置で直接的に音が伝搬しないように工夫されています。 吸音材としてグラスウールを2重に充填し、更に石膏ボードも2重に張られています。

    このように、吸音材だけでなく、下地となる間柱を千鳥配置と言われる方法で離して配置することで、直接音が伝わらないように施工すると良いのだとか。

    なるほど〜。単に性能の高い吸音材を壁に入れればよいのかなと思いがちですが、これは部屋間の防音にこだわりたい注文住宅の設計時にも応用できそうな考え方ですね。賃貸化を考えなくても二世帯住宅でお互いのプライバシーを大切にしたい場合は、有効な気がします。

    しかし!よく調べてみると、結構頭の痛い情報がありました。
    界壁には基本的に壁に埋め込むタイプのコンセントの設置がNGのようなのです。

    こんな感じで壁にコンセントボックスを埋め込むことなるのですが、吸音・防音性や耐火性が損なわれるからですかね。
    コンセントボックス
    これは、設計上にかなり大きな制約になりますよね。
    もし壁に埋め込みたい場合は、界壁からさらに壁をふかして設置する方法もあるようですが、これはふかした壁の分結構スペースが無駄になってしまいます。

    露出コンセントボックスを使う方法もありますが、これを新築で使うのはうーんですよね。。。。
    露出コンセントボックス

    先行界壁という考え方

    界壁を使いこなすのは、なかなか一筋縄でいかないことは分かってきましたが、当初完全な界壁を設けなくても、将来を考えて界壁ラインを想定して設計しておく「先行界壁」という考え方があるようです。

    情報が古いですがミサワホームの、HYBRID HOME plusの発表資料の中にありました。

    先行界壁

    収入を生む家 HYBRID HOME plus

    “HOME plus(ホームプラス)”は、普通に生活しながら賃貸収入が得られる賃貸併用 住宅です。賃貸併用住宅は、昨今の景気低迷を背景に、収入や雇用不安、年金問題など 将来の不安を解消する選択肢の一つとして注目されています。

    HYBRID HOME plus自体は、現在も提供している商品のようですね。

    レオパレスで問題になったような、小屋裏の界壁を後で設置できるようにしておくことで、大きなリフォームを必要とせず賃貸化できるように設計しておこうということなんですね。小屋裏だけでなく、基礎部分まで封じておかないといけないようですから、これは確かに新築時にケアしておかないと後からだと大変なことになります。

    界壁ラインをあらかじめ盛り込んだ設計は、例えばこのような間取りになるようです。
    ミサワホームの界壁
    やはり、結構しっかりした壁厚を確保しておく必要がありそうですね。

    二世帯住宅をリフォームしてアパートとして賃貸にする事例をあまり見かけないなぁと思っていましたが、このあたりの事情もあったからなのかなと、納得してしまいました。

    いつか、二世帯住宅を建てられるようなミラクルに万一遭遇することが出来たら、将来賃貸可能な間取りにしておいたほうがよいかなと妄想していたのですが、単に間取りの工夫だけでは済まないようですね(笑)

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