続く建築費や土地価格の上昇に加えて、住宅ローン金利の上昇も重なり、ますます注文住宅は手に届きにくい存在になって来ている印象です。一方で、さらに建物価格の高額化は、住宅の高性能化のトレンドの影響も大きいと思います。高性能だから高額になるのが当たり前というのは、売り手側にとってとても都合の良いシナリオ(別の業界で売り手の立場にいるので心が痛い)なのですが、そろそろ紐を緩ませた財布の中に残ったお金にも限界が出てくる頃かと思います。
以前からよく書いているとおり、もっとポジティブな意味でローコスト住宅が注目されても良いのではと思いながら、調べてみると興味深い情報があったのでご紹介します。
とうとう来た注文住宅コスパのトレンド
SUUMOジャーナルの記事で、次のような2024年の注文住宅建築費の全国平均価格が出ていました。
全国的に、建築費・土地代ともに上昇傾向が続いた2024年。SUUMOリサーチセンター「2024年 注文住宅動向・トレンド調査」によると、建築費の全国平均は3,415万円で、前年より229万円増加。土地代の全国平均は2,331万円で、前年より186万円増加。どちらも直近9年の中で最高値となっています。
引用: 2025年の注文住宅トレンドは「スペパ・コスパ」! 埋め込み型換気扇、自動洗浄風呂、壁面太陽光パネル、ジェネリック建材など注目キーワード続々 『SUUMO注文住宅』編集長に聞いた
1500万円以下で建てた我が家としては、同じ話をしているとは思えない全く次元の異なる建物費用なのですが、価格帯毎の分布は下記のようになっているそうです。

注文住宅のボリュームゾーンとなっている、2,000万円〜3,500万円の価格帯の中でも2,000万円台の減少傾向が大きくなっています。ハウスメーカー系のローコスト住宅は、このあたりの価格帯をイメージされるのではないでしょうか。
3,500万円以上が伸びているのは、建築価格の高騰に加えて住宅の高性能化・高付加価値化の業界全体の思惑が、ある程度成果に出た結果なのでしょう。
1,500万円〜2,000万円未満の範囲で建てた回答者が激減しているのも興味深いです。
我が家が建てた頃は、工務店やローコストハウスメーカーも大抵この価格帯でもっとボリュームが大きかったはずの印象です。
一方で、1,500万円以下の回答者が増えているのは、かなり割り切った新たな価値観で家を建てる人が出てきている傾向があると考えられないでしょうか。
おそらく高性能化・高付加価値化を理由に建築価格の高価格化を正当化する流れも限界に近づいて来ているのだと思いますが、SUUMOジャーナルによると2025年の注文住宅のトレンドは「スペパ、コスパ」だそうです。
確かに来てる?スペパとコスパのトレンド
「スペパ」とか新しい略語使われると、なんだか胡散臭いなぁと思ってしまうのですが、結構前から使われている言葉なんですね。スペパ=スペースパフォーマンス(空間対効果)の略だそうです。
ちょうど、最近自宅にアイダ設計のこんなチラシが入っていました。

以前、我が家が建てた2012年には1000万円で建てられると豪語していたローコスト住宅の代名詞のような会社も、とうとうコミコミ価格で2090万円という記事を書きました。
今後は、2000万円前後を主戦場にしていくのかなとイメージしていたのですが、一周回って1000万円に戻ってきたようです。
顧客の収入が大きく増えているわけではなく、増税やインフレで家以外にも出ていくお金が増えているわけですから、冷静に考えれば自然な流れではないでしょうか。
これもSUUMOの言う、コスパの傾向の一つかもしれません。ただ、住宅の売り手側としては、このようなローコスト住宅の選択は、コスパ(=コストパフォーマンス)とは言わないと絶対認めないと思いますが。
さらに、この999万円の家の間取りをよく見てみます。

この間取りには延床面積の記述はないのですが、アイダ設計のホームページに掲載されている、ほぼ同じ間取(バルコニーの付き方が違うぐらい)の999万円のプランを見ると、延床面積79.48㎡(24坪)のようです。

実は、このアイダ設計は、約一年前に同じく24坪で888万円の家を出していたのですが、この間取りと比べてみるととても興味深い傾向がわかります。

888万円の家で設けていた、約1畳の玄関ホールが今年の999万円の家でなくなり、玄関から直接LDKに直結となっています。
SUUMOの記事で、「スペパ」の説明の冒頭で挙げられている「省スペース玄関」をまさに体現した間取りでした。

さらに、888万円の家にはあった2階トイレがなくなり、逆にバルコニーが追加されていることも興味深いです。
一時は、「バルコニーいりますか?」という風潮があったのですが、バルコニーがないと売れないというマーケティング的判断があったのかもしれません。そういえば、昨年末にアコルデの社長とお話したときに、最近はバルコニーいらないと言われる傾向も落ち着いてきたとのことでした。
やはり一番コストダウンに効く延床面積を押さえるためには、従来の常識にとらわれない価値観の見直しが増えてくるのかもしれませんね。これからは、あえて0.75坪の浴室や洗面室や、コンパクトなシステムキッチンで、床面積を抑えつつ居室や収納スペースを確保するような流れも出てきたりして。
我が家も以前の借り家や奈良の家では洗面室が0.75坪だったり、実家の浴室は0.75坪でキッチンもコンパクトでしたが、当時はそんなものだと思ってそれなりに暮らすことは出来ていました。
あとできそうなことは、コストダウンと性能向上のどちらにも効く、窓の数やサイズを極力絞るぐらいのことでしょうか。既に999万円の家や888万円の家の間取りを見ていても、その傾向が現れているような気がします。
これらの意味だと、床面積を抑えながら、居室の広さと収納力を担保するには我が家のような小屋裏収納がとてもコスパが良いと思うのですが、最近あまり流行っていないようなのが不思議で仕方ありません。
今後期待したいのが、建材メーカーの努力で建材価格のコストダウンが進む効果です。
昨年のニュースで、YKK APが分譲用にコストを抑えた樹脂窓を昨年秋ごろか用意すると出ていたのが気になっていたのですが、つい最近下記のようなニュースが出ていました。

YKK APは分譲住宅向けにコストを抑えた高性能樹脂窓の開発を強化する。複層ガラス樹脂窓の主力製品「APW330」をベースに、販売価格を2割程度抑えた量産型の製品を2025年度中に発売する計画だ。
引用: ニュースイッチ 販売価格2割抑える…YKK AP、高断熱仕様の低コスト分譲用樹脂窓開発
昨年秋から投入時期が遅れてしまっているようですが、分譲住宅に採用されるようになると、かなりの量産効果が見込めるのではないでしょうか。
我が家が建てた頃のローコスト住宅も、分譲住宅と同等の建材を利用することで低価格に調達出来ていると思われるケースが多く見られました。YKK APの動きはローコスト住宅メーカーからの期待も大きい気がします。
ここ最近は、毎年春に住宅建材の大幅値上げがニュースになっていましたが、LIXILもこのような動きに追従して選択肢を増やしてくれることを期待したいですね。
とはいえ、4月からLIXILは値上げらしいので、このような企業努力も相殺されてしまうのかもしれませんが…

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