AIが間取りを作ってくれる日が訪れる?

    雑学

    最近AIの話題を色々目にする機会があるのですが、真偽は不明ですが、住宅メーカーがAIで間取り作成の研究を始めている話をどこかで見かけました。米国の2割以下とはいえ、18年度のAI関連の政府予算が770億円、民間投資は6000億円以上とのことですから、そのような動きがあっても不思議ではありませんね。
    人とAI

    すでにリノベーション分野では、AIがプランを作成するサービスが実用化していたみたいなのですが、残念ながら提供していた会社のWebサイトが現在は見られないようです。
    上記の事例では、3つの選択肢を提示する程度だったようなのですが、詳細なパース図や見積書まで自動で瞬時に作成していたようで、今後の発展の可能性を感じさせるサービスだっただけにサイトにアクセスできないのが残念です。

    我が家の家造りでは、幸運にも自分で作成した間取りを、ほぼそのとおりで建ててもらうことが出来ました。
    自分で作成したプランなので、堂々と相見積もり条件に出すことが出来たのもローコスト建築に役立ったと思っています。

    とはいえ、土地が整形地だったりほぼ総二階の、建売によくある間取りを少しアレンジした程度だったなど、色々条件に恵まれたところが大きいです。また、素人の浅はかな考えの間取りを実現するために、梁を太くしてバルコニー下の壁幅を最小限にしてくれたり天空率を使って希望の屋根の形状や小屋裏収納プランを実現可能にしてくれたりトイレの向きを改良してもらったりと、様々なプロのサポートがあってこそ実現できました。

    当然のことですが、耐震構造や法規制の考慮など、建築の世界は色々と考慮する項目がとても多いのですよね。

    それでも最後は、我ながらまとまりのある間取りに出来たのは、途中で様々な妄想間取りを作成した経験が活きたと思っています。今から考えると、よくこんな時間を取れたものだと思いますが、とにかく後悔したくない気持ちと、なんとか予算内で家造りを実現したいという想いで睡眠時間を削っていた記憶があります。

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    習熟するには、場数を積む必要があるのは、仕事でもスポーツにしてもあらゆる分野に当てはまることですが、AIは、この常識を根底から変えてしまう可能性があるんですよね。

    ちょっと、そんな可能性を妄想してしまう家づくりに関係するAIの情報を少し調べて考えてみました。

    ソニーが人工知能で間取りを作成するソフトを提供?

    未来新聞に、まさに間取りを人工知能で作成するソフトをソニーが提供するという記事がありました。未来新聞は、未来に起きるかもしれない出来事を想像して書いた記事で、実際には起きていない内容なのでご注意くださいませ。

    人工知能が間取りを自動作成 – 未来新聞

    それを象徴する現象が、今春、ソニーから発売された、人工知能で間取りを作成してくれるソフト、「間取り君」の人気だ。「間取り君」は、今後の建築士・設計士の仕事を奪うほどの勢いで上々の評判を得ている。例えば土地を入手した後に家を建てる際に、「間取り君」に間口や接道、建蔽率・容積率などを入力すると、一発でいくつかの間取りを作成してくれる。加えて、その中に住んでいるかのような、移動すると光景が変わる体感モードも体験させてくれる。

    しかし、ソニーは「aibo」にも使われている人工知能の深層学習ライブラリを無償で公開しているぐらいなので、あながちありえなくもないと思いました。

    下記は、とあるAIイベントでのソニーの講演で出ていたスライドですが、AIはインターネットやクラウドに続く破壊的テクノロジーと紹介していました。
    ソニー AI
    コンピューターやインターネットが普及する前であれば、施主が自分で間取り案を作成してきたり、メールで細かな質問や指示を日々送ってくるなんて、注文住宅の現場では想像できなかったのではと思います。
    現時点では、AIによる家づくりの変化の可能性は荒唐無稽なものに感じるかもしれませんが、意外にあっという間に業界の常識を変えてしまうのかも

    マイホームの相談をAIが相手をしてくれる?

    間取りの自動作成までに行く前に、AIに住宅のことを相談するという取り組みもあるようです。我が家の場合、二軒目の家を買えるかどうかという、ちょっとイレギュラーすぎて聞きにくい話もAIなら気軽に聞きやすかったかも。実際、面倒な客だなぁとあからさまに門前払いな態度を示された苦い思い出もあるので、AIだと気が楽ですね。ただ、不動産業界は原則や建前だけでないグレーなところがあるので、そのあたりはAIでの対応は難しい部分がありそうな気はしますが。

    注文住宅のプラン作成相談もAI化(人工知能)が進む? – 注文住宅の達人facebookTwitterGoogle PlusはてなブックマークPocketLINE

    皆さんが持っているスマートフォンをはじめ、掃除機やドローンなど、あらゆる分野で人口知能(AI)の進歩は目覚ましいものです。これは最近のニュースで耳にしたのですが、とうとう住宅業界にもAI化の兆しが見られ始めました。注文住宅や分譲マンションなどの購入時の相談窓口をAI化してしまおうという試みが進んでいるというニュースでし

    動線設計を自動化する技術?

    住まいの動線を自動的に生成する技術もあるんですね。しかも、この特許を出願しているサイバーウォーカーという会社は、なんと我が家が大変お世話になっている3Dマイホームデザイナーの開発元でもあるようです。(販売元は、イエマガでお世話になっているメガソフトさんです)。もしかしたら、この技術はすでに3Dマイホームデザイナーに搭載されているのかもしれませんが、動線も考えて間取りを自動的に設計できるとすごいことですね。

    間取り図は数値化される – Junichi Hashimoto – Medium

    前回の記事「間取り図データで住まい設計が変わる?」の続編です。これまでの流れを要約すると、
    1.楽天研究所がなぜか間取り図を簡素化するという研究していた
    2.間取り図を元に、動線評価の自動化を目論んでるのでは?と仮説立てた
    3.同じようなことをどこの誰が考えてるのかググってみた
    4.ついでに、特許も調べてみた
    5.そしたら、積水ハウスの特許が面白そうだった「コンピュータを用いた建築物の動線計画方法」

    ルンバが間取りAIを賢くするのかもしれない?

    今や家づくりの際にルンバに代表されるロボット掃除機の利用を考えることは、もうお約束と言えるのではないでしょうか。我が家の一階は比較的ロボット掃除機に適した間取りだと思っているのですが、未だ導入出来ていませんけどね(苦笑)
    今回、間取りとAIで検索していると、ルンバと間取りの意外な関係があるお話を見つけてしまいました。
    ルンバは、家の隅々まで自動的に掃除するために家の間取りの地図とも言えるマッピング情報を生成しているらしいのですが、この情報を売るのではないかという考察です。

    ルンバは「利用者の間取り図」を売るのか?(前編) – THE ZERO/ONEルンバは「利用者の間取り図」を売るのか?(前編) – THE ZERO/ONE – サイバーセキュリティ・メディア

    ロイターが7月24日に発表した記事が、一部で議論を呼んでいる。それは日本でもお馴染みの掃除機ロボット「ルンバ」のメーカーiRobot社の新戦略について伝えた記事なのだが、「家庭用のIoT(モノのインターネット)製品が収集するデータのリスク」についても考えさせられる内容となっている。

    確かに、AIや深層学習の世界では、大量なデータが重要と言われており、ルンバを通して様々な住まいの間取り情報を把握することで、AIをより賢くする手段となりえます。
    家づくりブロガーさんでも、防犯目的などで間取りを公開していない方もいらっしゃいますが、ルンバを通して自宅の間取りを把握されているとしたらまさかのびっくりですね。

    確かに、AIの世界ではデータが命と言われているのですが、こんな形でデータ収集される可能性があるとは。

    間取りの自動作成で期待できる効果(妄想?)

    こんな情報を物色しながら、もし間取りが自動作成されたら変わる家づくりの現場について考えてみました。

    売地ごとの間取りが瞬時に作れて購入判断が迅速になる

    よく、建築条件付きの売地なんかですと、あまりやる気の感じられない参考プランなどが埋め込まれていたりしますよね。おそらく、どんな建物が建てられるかが少しでもイメージ出来たほうが購買につながると考えられているからだと思います。
    我が家が家づくりの検討中に、価格だけでなく形状や立地含めて難ありの売地を紹介してもらったのですが、不動産屋さんがこんなことを言ってました。
    「この土地は、このままだと売れにくいんですが、建売で建物が建つと意外と買い手が着くんですよね。」
    当時は、なぜだろうと思ったものですが、確かに土地売りの段階では中々買い手がつかず苦労していたようですが、建物を建てて建売で売り出した直後にあっという間に売れてしまいました。

    やはり、土地を見ているだけでは、素人にとって、どんな建物を建ててどんな暮らしができるのか?ということが、イメージするのが難しいということではないでしょうか。

    もし、土地の図面と希望を入力すれば、複数の間取りプランをAIが提示してくれるようなことになれば、ぱっと見難ありの土地の意外な魅力に気づくことができるかもしれません。

    ハウスメーカーに行く前に間取りの提案を受けられる

    従来は、
    モデルハウス訪問>打ち合わせ>プラン提案受領>微調整・・・
    という流れが標準だったかと思います。

    もし、事前に間取りが作成できるのであれば、
    AIでプランシミュレーション>モデルハウス>打ち合わせ>微調整・・・
    という流れも可能になるかもしれません。

    実は、当時玉ホームのホームページで間取りのシミュレーションが出来る機能があったのですが、土地に合わせた間取りではなかったので、あまり意味がない感じでした。あくまで、間取りに合わせた金額感のシミュレーションだったのですが、その金額感も実際店舗に行くと全く違うものでしたし・・・

    住宅メーカー毎の独自ルールを自動的踏襲して、自分の建てたいプランをシミュレーションした上で、打ち合わせにのぞむという手順が可能になったりすると画期的ですね。
    ただ、住宅メーカー側としては、見込み客とface to faceでやりとりする前に、選別されてしまう恐れはありますが・・・
    しかし、一方商談に持ち込めた場合は、すでに細かな検討後なので、腹の探り合いではなく、その後の進行が効率よくそうです。ただし、そのためにはシミュレーションで出た結果と店舗の対応の整合性が取られている必要がありますね。

    間取りプランの修正や変更を気兼ねなく何度もできる

    我が家が自分で間取りを検討したのは、気兼ねなく細かな試行錯誤をしたかったからです。他の家づくりブロガーさんを拝見していると、プランの作成や修正に1週間以上待たされた打ち合わせで、意思の疎通が出来ていない提案が出てきたりと苦労が絶えないように感じます。住宅メーカーによっては打ち合わせ回数に制限があったりもするみたいですが、そんなルールなどに気を使うあまり納得行くまでプランの試行錯誤が出来ないままで仕様を確定せざるを得ないケースもあるのではと思います。
    タイミングによっては、変更や修正が本当に難しい場合もあると思うので、事前に短時間で試行錯誤をしておくことが出来ると後悔がないですよね。
    その点、AIで自動的に間取りを作成してもらうことができれば、ちょっとの要望の修正もすぐに確認できて、後悔のないプラン検討を気の済むまでできそうな気がします。

    営業マンや設計担当者の個人的好みや能力に偏らないプランが得られる

    人間相手の場合、どうしても価値観や好みの違いがありますよね。窓口となる営業マンや設計担当者に自分の希望に共感が得られなかったときは悲劇です。「皆さん、そんなことはしませんよ」とか言われたら不安になってしまいますが、どこか本当にそうかなぁ、どのくらいの皆さんの意見なのかなぁと私は思ってしまいます。営業マンですから、顧客が欲しいものよりも会社が自分が売りたいものを優先せざるを得ない場合もありえます。
    これも、AIを使ったプラン作成ができれば、営業マンや設計担当者の個人的にバイアスのかかった可能性のあるプランに引っぱられずに済むかもしれません。ただし、そのメーカーが提供するAIサービスの場合、会社の方針がAIにも反映されている可能性があるので、信用しきるのはリスクがありますが。

    独自ルールや法的観点のヌケモレを防止できる

    我が家のように天空率を使わないと実現できない屋根形状だとか、配置計画にも影響があるという点など、自動的に間取りを作成する際に考慮して指摘してくれると助かります。
    建築不可能なプランで一生懸命仕様を詰めていても時間の無駄ですからね。
    また、住宅メーカーごとに間取り上の制約やルールがあるそうですから、そのあたりも自動的に考慮して間取りをアレンジしてもらえると良いですね。制約やルールが具体的に間取りへどのような影響をもたらすかが可視化されると、住宅メーカー選びもより安心感が高まります。

    人工知能建築家「アーキロイド」?

    なんてことを妄想していたら、人工知能による建築家を開発するというプロジェクトがあることを見つけました。

    人工知能建築家『アーキロイド』の開発(資料1資料2)

    2017年の情報処理推進機構の未踏アドバンスト事業に採択されたページの概要には次のような説明がありました。

      建築設計においてユーザーの要求とデザインを一致させるのは難しいものである。建売・売建・商品化住宅では用意されている選択肢が少なく、注文住宅では設計の自由度は上がるが1人の建築家の試行錯誤やユーザーとの打合せの回数には限りがあり、かつ、多数の建築家に設計を依頼することができないため、選択肢は決して多くない、という問題がある。 人工知能建築家「アーキロイド」は、建築家の設計した住宅から独自の評価システムを用いて算出した定量データライブラリをもとに、深層強化学習を用いて住宅の設計を行うことで、住宅産業におけるマスカスタマイゼーションを実現する…

    おぉ、これはまさに私の妄想と一致する部分があるではないですか(いゃ、もっと高尚な目標ですよね。すみません。)
    本当に、AIが間取りを何度でも作成してくれる世界は訪れるのかもしれませんね。

    しかも、取り組まれている方めっちゃ若い!

    佐々木雅宏 | Parallel Projections

     木造住宅の自動設計に特化した人工知能建築家「アーキロイド」の開発と、サービスへの展開を目指して活動中。大学卒業後研究室で共に開発を行った仲間と「合同会社アーキロイド」を立ち上げ、研究から実務での応用へ向けてプロジェクトを継続している。人工知能建築家「アーキロイド」は、建築家の設計した住宅から独自の評価システムを用いて算出した定量データライブラリをもとに、人工知能を用いて住宅の設計を行う…

    それにしても、こんなすごい挑戦なのに、採択金額って700万円なんですね・・・
    今のAIブームを考えると、二桁ぐらいプラスした金額でどこかの会社が投資していてもおかしくない気がするんですけどねぇ。

    業界の方々は大変だと思いますが、AIで変わる家づくりの未来がどうなるのかが楽しみだなぁと思いました。

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