実家の相続登記を自分でやってみた

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2021年に他界した父名義の実家を母に相続登記してみた話です。
母から、もっと早く手続きをしたほうが良いのではと、何度もせっつかれていたのですが、相続登記の義務化と同時に手続きが簡素化するという話を期待して、今年の春まで先延ばしにして来ていました。

相続人申告登記が、簡素化された申請制度のようなのですが、私が見る限り多少手続きは簡素化されるものの、戸籍を取得したり法務局に出向いたりすることは、結局必要なので、それならきちんと相続登記をしてしまうほうが良いと考えました。相続人申告登記は、法定相続人の関係や遺産分割が複雑な場合にニーズがある制度なのかなと感じました。

そこで、ここでも本ブログらしくローコストな相続登記にチャレンジしてみました。

better相続登記で自分でやってみる

一般的には、司法書士に相続登記を依頼するようなのですが、ざっくり調べたかぎり7〜10万円ぐらいが報酬の相場なようです。しかし、さらに調べてみると、相場を下回る3〜4万円前後の費用で受け付ける司法書士事務所もみつかります。ただし、人が動く限り一般的な司法書士事務所で手数料を下げるのは、人が動く限り結構無理してるのではないかと思ってしまいます。

そこで、ネットサービスのサポートで自分で相続登記ができるというサービスを利用してみることにしました。

私が選んだのが、better相続登記というサービスで、一律19,800円です。

better相続登記

司法書士が動いてくれるわけではなく、基本的に自分で手続きをするため不安はありますが、仕組みの提供でコストを下げている考え方に納得感があったので、チャレンジしてみました。
(仕事柄サービスの仕組み自体に興味があったことも理由です)

サービスのご利用診断と申込み

サービスに申し込むと、まずはこんな画面で利用者の状況の診断がはじまります。

はい、いいえ形式で14の質問に答えると診断結果が出ます。

この画面が出ると、無事正式な申し込みとサービスの利用に進むことができます。

事前準備

続いて、申請の大まかな流れのやさしい説明と事前準備の案内があります。

続いて不動産の詳細資料の取得の案内があります。

さらに、取得した登記簿謄本から所轄の法務局などの確認の案内があります。

ここまでで、事前準備が完了し、前提事項の入力に進みます。

前提事項の入力

ここでは、亡くなった人(=被相続人)の情報を入力します。

遺産分割協議書は作成済みで、このシステムでは作成しませんが、最終の本籍地も念の為入力しておきました。特に入力しておいても問題はなかったようです。

相続登記の実施

ここから、相続登記の本格的な情報入力に進みます。

登記を行う案件の登録

最初に申請書作成の手引の確認案内があるのですが…

あんまりちゃんと読んだ記憶がない…(苦笑)

続いて、土地や建物の情報を入力します。

今回は、実家の一件だけの入力ですが、複数案件追加ができるようです。

必要書類の収集

ここから、申請に必要な書類の収集の案内があります。
better相続登記のトップページには、「申請書スピード作成60分 最短」と書かれていますが、あくまで書類が全て揃っていた場合です。実際は、このページを見ながら必要書類を収集していくことになるので、何度も訪れることになると思います。

各書類の右側に入手状況をチェックしていくことができるので、書類の収集状況のチェックリストとして利用できます。

戸籍謄本は本籍地以外の市役所で取得できるけれど…

まず戸籍謄本の取得のため、本籍地の役場に連絡してみたところ、2024年3月1日から戸籍法が改正され、最寄りの市区町村の窓口でも戸籍・除籍謄本を取得できるようになったと言われました。
これも、相続登記義務化に連動した手続き簡略化の一つだそうです。

配偶者、直系親族(子、父母等)は委任状なしで、地元の市区町村で戸籍・除籍証明書を請求できるとのこと。
これは、とても助かります。

better登記のサイトにも次のように書かれているのですが、すっかり見落としていました。

早速地元の市役所に戸籍謄本を取得するため出向いたのですが、「戸籍の附票」は本籍地に請求が必要と言われてしまいます。

法務局 相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等

実は、better登記を利用する前に、法務局のサイトを見てめぼしい必要書類を集めていたのですが、「住民票の除票」と「戸籍の附票」のどちらかが必要と書かれています。
私は「戸籍の附票」を同時に取得すれば、手間がないと考えたのですが、うまくいかないものです。
このため、結局本籍地に郵送で定額小為替を送って請求することになり、随分手間と時間がかかりました。


無事戸籍の附票を入手して、万全の準備が整ったと思ってbetter相続登記に登録すると、住民票の除票が必要書類となっています。戸籍の附票を取得したので住民票の除票は不要かなと思っていたのですが、better相続登記の記述では確証が持てません。

結局住民票の除票も関西在住の弟に依頼して取得したのですが、こんなことなら手間をかけて戸籍の附票の取得は不要だったかもしれません。

改製原戸籍の請求を見落とす

手間をかけて、不要だったかもしれない「戸籍の附票」を取得した一方で、改製原戸籍を請求することを見落としてしまいました。

見落としていたというより、意味がわからず読み飛ばしていたような感じなんですが、全ての書類を揃えて弟に法務局に提出してもらったところ、戸籍の書類が足らないと指摘されたとのこと。

地元の市役所で戸籍謄本を請求する際に、「出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本」を指定していたつもりだったのですが、改製原戸籍の取得が必要だったようです。

改製原戸籍とは、古い様式の戸籍のことです。

このため弟に地元の市役所で改製原戸籍を請求してもらうことになりました。
改製原戸籍も、直系親族であれば地元の市区町村で取得できるようです。

例えば、こんな感じの書面です。

手書きの戸籍を初めて見たのですが、おどろおどろしい雰囲気のなかなかインパクトのある書面です。
確かに父親の名前が、見たことのないご先祖の並んで記載されています。

「出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本」とは、ここまで徹底する必要があるんですね。
大変勉強になりました。

印鑑証明は全員分必要

続いて、不動産を相続する人に関係する書類です。
今回の場合、母に関係する書類になります。

これらは、実家の近くに住んでいる弟に書類の取得をお願いしました。
ちなみに、遺産分割協議書は、better相続登記で作成できるのですが、父が亡くなった直後に作成したので、そのまま利用しました。遺産分割協議書は、母と弟と私のそれぞれの控えがあったのを集めて、全て法務局に提出したのですが、全ては必要なくひとつでよかったようです。

Screenshot

括弧書き部分には、あらかじめ入力した相続人の母親の名前が入って表示されます。今回は実家を母親に相続するため、私や弟の名前が入らないため、相続人の印鑑証明は母親分だけ用意すれば良いように見えたのですが、実際は私と弟の分の印鑑証明も必要になりました。(これは、念の為用意しておいたので役に立ちました。)

固定資産税評価額の入力に悩む

不動産評価額を証明する固定資産評価証明書が必要になるのですが…

こちらは、実家に4月末頃届いた次のような納税通知書を利用しました。

こんな感じの書類です。

しかし、この書類の見方がよくわからず、この後、すこし手こずります。

固定資産税評価額と登録免許税

better相続登記の画面で、建物と土地の固定資産税評価額の入力を求められるのですが、納税通知書のどの数字を見れば良いのか、いまいちわかりません。

最初は、この表を見ていたのですが、課税標準額の固定資産税と都市計画税の金額が、土地の場合は異なるのに、建物の場合は同じ数字で、この意味がわからず困りました。

ググって色々調べてみたのですが、市町村毎にこの手の書類のフォーマットが微妙に異なるのですが、おそらくこの部分が土地と建物の評価額になるようです。ここまでたどり着くのにかなり悩みました…

ちなみに、実家は一階が鉄筋コンクリート造りで、2階と3階が木造なので、それぞれの合計が建物の評価額となります。

この前提で、土地は次のように入力し、

建物は、鉄筋コンクリート造の1階と木造の2階3階分の合計を次のように入力しました。

あまり自信がなかったのですが、法務局提出時に、この部分は指摘が入らなかったので、問題なかったようです。

この入力情報を元に登録免許税が計算されます。

今回の相続登記の登録免許税は、18,900円でした。これは、better相続登記の利用料19,800円(税込)とは、別に必要になる費用です。

登録申請書の記述はよく確認すべし

一通り項目を入力すると、自動的にbetter相続登記が作成した申請書をダウンロードできるようになります。
word形式でもダウンロードできるので、手元で編集も可能です。

実は、この申請書に記載の実家の住所に脱字があり、これも初回の法務局への提出で指摘されてしまい、弟に迷惑をかけてしまいました。トホホ。最後に気が緩んで確認が不十分でした。

提出書類の揃え方

最後に、途中をかなりすっ飛ばしてしまいますが、こんな感じで準備した書類を整理して揃えるように案内があります。提出するコピーとは別に、後で返してもらえる原本は別にまとめておくようです。

ここまで揃えれば、郵送でも申請が可能です…が、我が家が郵送で申請していたら初回は間違いなく突き返されているところでした。私の間抜けな注意不足も大きかったのですが、かなり一発でOKとなるのは難易度が高そうです。

法務局によって、ローカルルールが存在する場合もあるので、better登記の指示を完璧にクリアしていても、修正指示が出る可能性はあります。

弟いわく、法務局の対応は、けっこうつっけんどんで冷たかったそうです。一般の人相手というより、不動産屋など、プロを相手にすることが多くて、そういう態度なのかもと言っていました。
そのような対応が嫌な場合は、時間がかかっても郵送で申請したほうが気楽で良いかもしれませんね。

実は、修正済みの書類を弟が提出して手続きを完了するのを待っている状況なのですが、おそらく次回は大丈夫だと思います。

万一、思わぬ修正の指摘があった場合は、あらためてここに追記しておくか新たな記事でご紹介します。

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