施主が本当に必要だったもの

    振り返り

    このタイトルを見て、聞いたことあるなと感じた人は、IT業界の方かもしれません。
    注文住宅を経験してみて、受託型システム開発の世界と抱える悩みが、似ているなぁと痛感させられました。(何度かブログでも書いたかも)

    例えば、受託側はとっても一生懸命仕事をしているのに、発注側は不満という風景です。

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    なんで、電話くれへんねん!→いやいや、ないねんからしゃーないやん

    なぜ、こんなことが起こるのでしょう?
    当時、自分自身で思っていたことも含めて考えてみました。

    実は自分たちが望んでいることって意外にわかっていない?

    昔、実際によく遭遇して困ったのが「うちのホームページ、シュッとしたかっこいいのにしてよ」という相談です。「シュッとした」って何やねん(笑)。
    とりあえず、「シュッと」したを想像して頑張って色々提案するのですが、大抵「うーん。なんか違う」とか、無情な反応でげんなりします。

    我が家の家づくりの当初でも、「家づくりハッピーノート」に要望を書き出してみてと言われたのですが、私はほとんど書けませんでした。一方、妻はとても具体的に書き出していたのにもびっくりしましたが。

    アコルデのモデルハウスに初めて訪問したときも、岡本社長に「外観の好みはなんですか? シンプルモダン?スタイリッシュ?ナチュラル?洋風?」とか聞かれましたが、全く答えられませんでした。

    それがわからないから、モデルハウスに見に行ったり、カタログをもらって吟味したりするわけですが・・・
    じゃぁ物質的な何が欲しいかがはっきりしていないのに、なぜ何千万もの家を借金してでも欲しいと考えてるんでしょうね。

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    考えるな感じろってか!

    そこには、「シュッとした何か」のように曖昧だけど、実は潜在的で無意識で無形の顧客側の要求が確実にあります。
    システム開発受託の現場も、顧客の要望を聞き取って、オーダーメイドで作って納品するというようなお仕事だったりするわけですが、この要求を捉え間違えると結構な悲劇が発生します。

    その点、完成品として並んでいる電気製品や建売住宅の場合であれば、目の前にあるものが欲しいと思うものであれば、そのまま手に入るわけですし、自分の要求を説明する必要がないんですけどね・・・

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    顧客が本当に必要だったものとは (コキャクガホントウニヒツヨウダッタモノとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

    「顧客が本当に必要だったもの」とは、ITビジネスにおける多難なシステム開発プロジェクトの姿を風刺した絵に登場する、オチの部分のフレーズ。顧客が期待した通りのシステムとして完成しなかった原因は、開発側の勝手な思い込みや都合の押し付けだと思いきや、そもそも最初に顧客が説明した要件からしてズレていた…

    こちらでも、「顧客自身にも自分が必要とするものが分かっていなかった」ということが問題として指摘されています。
    受託側では、いかに顧客の要求を読み解き関係者に正確に伝えることが重要かを、この風刺画でよく説明します。
    ただし、顧客側もきちんと要求を自分で伝えられるのに越したことはないんですよね。

    自分が折角支払うお金に相当する価値ある成果を出すためには、本当の自分の要求を正しく伝えることが大切なのですが、これが、予想以上に深い気がします。

    通勤中のミルクシェイクに重要なのは味ではなかった

    今度は、マーケティング界隈で有名な話なので、知ってる人はニヤリとするかも。
    とあるファーストフードチェーンがミルクシェイクの売上を上げようとしたのですが、ミルクシェイクの味について顧客に聞き、フレーバーやトッピングを工夫します。何ら間違った話ではないように思いますが、あまり効果が出ません。

    そこで、ミルクシェイクがよく売れる朝に、あえて「何をするためにミルクシェイクを雇ったのですか?」と購入客に聞いてみた所、意外な状況が見えてきました。

    実は、顧客は「退屈しのぎ」のために、ミルクシェイクを買っていたとわかっていたそうです。
    同じような例で、「退屈しのぎ」をスマホに奪われたのでガムが売れなくなっているなんて話もありますよね。

    ミルクシェイクの話に戻ると、夜の時間帯では親子連れで食事と一緒に子供に買い与えていることが多いのが判明します。
    これは、買い物につき合わせた子どもたちを親がなだめ、自分が愛情に満ちた親であることを確認するための行為だとわかったそうです。しかし、一方でなかなか子供がシェークを飲み終わらないことにイライラもしているという生々しい不満も見つかりました。

    そこで、通勤時間帯の顧客向けには、粘り気があり長持ちすることで「退屈しのぎ」ができるシェークを、夜の時間帯には、粘り気を落とし早く飲めるシェイクを開発し提供したところ、効果が出たそうです。

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    吸引力の変わるただ一つのシェイクです(そ~いえばダ○ソンって吸引力弱いってホント?)

    このように、モノそのものの普遍的な価値だけでは測れない、モノとの関わりの文脈を含めた期待というか要求があるというのが興味深いですね。

    注文住宅の場合でも、満足度の高い業者さんは、このあたりの文脈も含めて施主の要求を読み取り適切な提案をしてたりするのかなと想像してしまいます。逆に言うと、施主側も自分の要求をできるだけ正しく自分自身も理解し、うまく伝えられることで満足できる結果が得られることに繋がるのではないでしょうか。

    その点、我が家の場合、自分達の要求の本質をきちんと伝えられたとは思えないのですが、アコルデの総合満足度が高かったのは、そのあたりを察して対応してくださる力が高かったのでしょうね。感謝です。

    アコルデもいつの間にか新しいスタッフの方々が増え、様々な施主さんに高い満足度を安定して提供していくのは大変だと思います。これからも、同じDNAが引き継がれて続いていくといいなと思いながら書いていたら、だらだら長い駄文となってしまいました(汗)。

    最後までお読みいただきありがとうございます。

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