コストダウンシリーズの続きです。
前回は、屋根の形状でコストダウンを考えるお話を書いてみました。
この中で、屋根の掛け方によって、外壁の面積が大きく変わりコストにも影響することに触れましたが、今回も外壁に繋がりのあるお話でございます。
注文住宅による家づくりに取り組むまで、住宅の形状がコストに大きく関係するなんて、恥ずかしながら全く想像していませんでした。
大昔に、大昔に、初めて買った建売の家で、下屋があるから家らしいと言われたことも、実はずっとピンと来ていませんでした。
下屋の話は、適度に住宅の外観に凸凹があると、高級感を感じるという事例の一つなのですが、凸凹があるほど実際にコストが上がるようなのです。ということは、その凸凹を減らせばコストダウンになると言うことなのですが・・・
おまえか!高い原因は!@PhotoVisionによるPixabayからの画像
家の角を減らしてコストダウン
これは、当ブログ内でも何度も触れている定番の話でございます。少し調べればすぐ出てくる情報なのですが、私がハウスメーカーを廻り始めたときは、全く知りませんでした(笑)
総二階が安いというのは、早い段階で理解したのですが、間取り設計で角が増えたらオプション費用になることは、想像も付きませんでした。すっかり、坪単価の中で吸収してくれるものとばかり思っていたわけです。
当時、超ローコストな規格住宅を扱う100年ホームのコストパフォーマンスに相当惹かれていたのですが、自由設計を選択した場合には、家の角の数で価格が変わるという話をここで聞いて初めて知ります。
あらかじめ、建物の延床面積の大きさによって、角の数の範囲の目安が決まっているようでした。
既定の数を超えると追加費用になるようなイメージです。
100年ホーム以外に、商談段階で角の数がコストに影響することに触れた会社は他にはありませんでした。
一般的には、契約後にプランの検討の中で説明する流れなのかもしれませんね。
ただ、これは予算内でどんな家づくりをするか、できるのかの重要な情報なので、契約前に確認しておくのが良さそうに思います。
ちなみに、我が家が建てたアコルデでは、最初の案内の時に岡本社長から角が増えても価格に影響のないと説明されたのですが、100年ホームの話を聞いた後だったので、インパクトがありました。
聞いてなかったら、ありがたみがわからなかったかも(苦笑)
角が増えるというのは、平面図で見て例えばこんなイメージです。
左右のマス目の数は一緒なので、床面積が同じでも角の数が倍ぐらいに増えるケースがありうることがわかると思います。
角が増えると、構造が複雑になって施工の手間がかかったり、角の部材が増えたりすることがコストアップの理由としてよく見かけますが、耐震性の確保のための設計やバランスの取り方にも手間がかかりそうな気もしますね。
コーナーのデザインでコストダウン
これは、サイディングを採用するおウチ特有の話かもしれないのでご了承ください。我が家が住宅展示場をまわったころは、ローコストハウスメーカーでは16mm金具施工のサイディングが大抵標準仕様でした。工務店では、14mmサイディングを標準とするところが多く、ローコストハウスメーカーとはいえ、あこがれの仕様だったんですよね。我が家の予算でも、アコルデのお陰でなんとか16mm金具施工のサイディングを採用することが出来たのですが、その達成感にすっかり油断してしまい仕様書上の記述を深く理解しておらず、途中で慌てることになります。
その慌てた原因は、仕様書の「長尺出隅」という記述です。
これは、サイディングのコーナー部材の仕様を表しているのですが、長尺出隅の場合はサイディング本体のような凸凹がなくフラットで、16mmでこだわった彫りの深い風合いがコーナー部分で途切れてしまいます。
憧れたハウスメーカーの外観でも、このタイプはみたことがなかったので、この出隅では自分にとって16mmサイディングを採用したとはいえない状態でした。
私が勝手に当たり前と考えていた出隅材は、「短尺出隅」というタイプだったようです。
この短尺出隅は、「同質出隅」という言い方もするそうで、サイディング本体と同じ凸凹でデザインの連続性を保ってくれます。
どうやら、単純なデザインの長尺出隅の方が基本的にローコストなようです。
本来、我が家のぎりぎりの予算に追い込んでいただいて、仕様書にしっかり記述されているのですから、このままでも仕方ないのですが、アコルデの岡本社長の太っ腹っぷりに救われました。この辺のエピソードは、こちらを御覧ください。
ちょっと遠いので気合いが必要なのですが、4月30日に、ニチハの東京ショールームに見学に行ってきました。注文住宅の壁事前に電話連絡してみたのですが、特に予約は必要ないという事です。一般的にハウスメーカーや工務店に置いてあるサンプルよりも、大きなサンプルが置いてあります。我が家は、ニチハ モエンエクセラード 16mm厚 Vシリーズを採用しています。当時は、確かミラージュタイルVとファンゴVというのはなかったので…
ただ、これは逆に捉えると、長尺出隅を使うと少しコストダウンが出来るということですよね。
我が家の仕様書で、明確に長尺出隅と指定されていたぐらいですし(苦笑)
角が多くて部材が沢山必要な間取りの場合で、長尺出隅の外観に違和感がない場合は、申し出てみるとコストダウンの可能性があるのではと思いました。
建ててしまってから、長尺出隅を採用している家をいくつか見かけましたが、意外に大丈夫というか、違和感のないデザインが沢山ありましたので、上手に組み合わせると賢い選択になりそうです。
長尺出隅の予算で短尺出隅を採用してもらった、お前が言うなという感じですが(汗)
互換部材でコストダウン?
我が家のように、例えばニチハのサイディングを選択しても、全ての部品がニチハの純正部材とは限らないということはご存知でしょうか?あまりそこまで細かく仕様書で明らかにする会社は少ないと思いますが、全体のコストを削減する選択肢として、金具やコーキング材に至るまで、様々な互換部材が存在するようです。
個人的には、住宅会社が性能と保証をしてくれるのであれば、そんなに純正品にはこだわらない考え方なのですが、粗悪品を使っているかもという心配がないわけではありません。
互換品を使っているコストダウン効果が、施主側に享受されていると良いのですが、住宅会社側の利益だけになっていると少し悲しいですよね。
薬局でのジェネリック薬品を勧められる時のように、一旦純正部材での提案があって、互換品(内容)にした場合のコストダウン効果を説明してくれたりすると、嬉しいなと思いました。オープンに互換品の提案と説明をしてくれるところだと、ひどい粗悪品を使われるという心配はなさそうな気がするのですが、甘い考えですかね。
例えば、むしろ互換部材のサイディング同質出隅の方が、純正品より美観性が高いというものもあるようです。
サイディング同質出隅 | 取扱商品のご紹介 | 創光プランニング
サイディング同質出隅は外壁の美観を左右する大切なもの。私たちはいつもそのことを頭に置いて製品を提案しています。
「時代品質」
・その1)コーナーが一定の角度になるよう厳格な品質管理
・その2)他社にできない面取り部分
・その3)接着部分に負担をかけず、強度を保持
・その4)1度にも満たない、ほんのわずかな角度の違いにもこだわり
また、そのまま廃材になってしまうサイディングを組み合わせて出隅材は作られているんですね。
サイディングプレカットSPシステムについて | サイディングプレカット | 株式会社シン・サク(シンサク) | 愛媛県松山市
SPシステムは、精度が高いフルプレカット技術です。過去600件以上のプレカット実績を誇り、豊富な現場事例を蓄積しております。それを元にシン・サク技術施工帳、現場測定編とCAD入力編のマ二ュアル帳を完成させております。SPシステムの特徴は、ラフカット(複雑部をカットしない)ではなく、100%フルプレカットすることが基本です。
接着の強度や加工品質と保証に、どの程度信頼性があるのか判断するのかが勇気のいるところですが、デザインに関しては元々同じサイディングを流用するので大丈夫ということでしょう。
どの程度のコストダウン効果があるのか次第だと思いますが、あえての互換品に興味を持たれるかたもいらっしゃるのではと思います。
保証のリスクなどを考えると、ビルダーさんの方が嫌がるかもしれないですけどね。特にハウスメーカーは難しいかも?
金物コーナーでコストダウン
元々我が家は、建売住宅でも十分と言いながら、タンス置き場の確保など、既製の間取りでは対応出来ないことを理由に注文住宅に手を出したのですが、いつの間にか要求が贅沢になってしまっていました。その建売住宅では、前述の長尺出隅でも短尺出隅でもなく金物の出隅をよく見かけます。当時500万円で家が建つと言われた建売住宅が選択する仕様なのですから、コストダウン効果は高そうです。
ちなみに、格安パワービルダーでも、まれに長尺出隅や短尺出隅を採用している場合も見かけるので、絶対的な仕様でもなさそうです。部分的(デザイン的に目を引く部分)に同質出隅で、目立たないところに金物出隅というパターンも見かけます。
実際の金物出隅ですが、本当によく見かけるタイプがこちら。
まさに、500万円で建てていると噂された最安域のパワービルダーで採用されているタイプです。
これは、流石にいかにも建売住宅ですという雰囲気を強調するので、あえて積極的に採用するのはかなり躊躇しますね。
しかし、少し価格帯が上の建売住宅では、こんなタイプも見かけます。
少しわかりにくいですが、サイディングと同質色なので、シルバーのアルミ感丸出しの金具よりかなり目立ちません。
黒の場合でも同質色がありました。
黒のほうが、より目立たない感じがしますね。
特に、同様に同質色の縦樋が付いているコーナーの場合は、さらに違和感がない気がしました。
このように白でもなく黒でもなく、微妙な色合いのサイディングと同質色もあるようなので、結構選択肢があるようですね。
ただ、これらが必ずしも金具なのかどうかは、わからない(樹脂?)ので要注意でございます。
前述の互換部材による風評被害の可能性がありますが、コーナー部分は割れてくるリスクがありそうです。金具によるコーナーの補強は、コストダウン効果だけでなく、長期的な強度の確保の面でも合理的な選択肢な気がします。建売業者では、格安で建てても10年保証をしなければなりませんから、その観点もあって金具のコーナー部材を採用しているのかもとも思いました。
サイディングのコーナー継ぎ目部分で、新築引渡し後数ヶ月で隙間… – Yahoo!知恵袋
サイディングのコーナー継ぎ目部分で、新築引渡し後数ヶ月で隙間が開いてしまい、その後約半年おきに補修を繰り返しています。2年の保障期間ギリギリにも対応をしましたが、2ヶ月で再発。良い補修方法はないですか?画像は対象部位の一部です。このような調子で約1メートルにわたって隙間が空いてしまっています。なお、最初の2回の補修は接着剤+塗装だけ。最後の対応はパテ埋め後の処置を実施していただいているようです(塗…
色々書きましたが、施主が出来ることとして角が増えないようなプランでコストが上がらない工夫は出来ても、住宅会社が決めた標準プランから下げる工夫は実態としてなかなか難しいかと思います。
ただし、標準仕様ベースの減額調整で限界となったときに、最後の手段で突破口になるかもしれません。
我が家も一部標準仕様を下げるイレギュラー対応で予算をクリアできましたので、ご参考くださいませ。
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